垣谷美雨「後悔病棟」

後悔病棟 (小学館文庫)

後悔病棟 (小学館文庫)

 

空気を読めずに、たびたび患者に心ない言葉をかけてしまう内科の女医ルミ子が、中庭で拾った不思議な聴診器で、患者の心の声が聞こえるようになる、というお話。末期がんの患者が死ぬ前に人生を振り返り、後悔している”あの日”まで戻って別の人生を体験することを支援する。

連作短編集で、芸能界デビューをしていたら、家族ともう少し話していたら、娘の結婚に反対していなければ、中学時代に罪をかぶっていれば、という4つの心残りのエピソードがあげられています。実際に別の人生を体験して、死んでいく。どちらの選択のほうがよかったのか、というのは難しいけれど、いろいろ考えさせられました。

女医ルミ子が、これらの体験を通して、患者の気持ちに寄り添うようになり、少しずつ成長していく様も興味深いです。

私だったら、どこに戻るかなぁ、と考えますね。いつかしら。なんにしても、悔いないように生きていきたいですね。