今村夏子「むらさきのスカートの女」

【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女

【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女

 

芥川賞受賞作品。近所に住んでいる「むらさきのスカートの女」のことが気になってしかたのない女性が、観察を続けながら”ともだち”になることをめざしていく。

定位置となっている公園のベンチでクリームパンを食べ、職探しをするむらさきのスカートの女。主人公は、自分と同じ職場になるよう面接を受けさせるべくさまざまな策を講じる。そして、同じ職場に入ってからも、観察を続けていく、というお話。

「あひる」を読んだときのようなざわざわ感は少ないが、なんとも言えない読後感であり、いくらか気味の悪い話ではある。とはいえ、こういった(ささやかな?)狂気は、誰にでもあるのかも、とちょっと思ってしまうようなところもあったり、ね。