「選択的夫婦別姓」を実現するための訴訟について賛同しました
先日、Change.orgで、夫婦同姓・別姓を選べる「選択的夫婦別姓」を実現するための訴訟について賛同しました。
個人的な話になりますが、前のパートナーは、結婚したくない、という思想の持ち主でした。私は若い時に結婚したいと考えていたので、いろいろやりとりがありました。夫婦別姓や婚姻制度、他のことについてもいろいろ教えてもらいました。
30代になると、知り合いからは「結婚しないの?」と聞かれることが増え、いろいろ答えていたのですが、だんだん面倒になってきて「事実婚みたいなものです」と回答していたので、徐々に聞かれないようになっていきました。
今回の件だと「選択的夫婦別姓」ですから、自由度をあげるだけなので実現すればいい、と思うのですが、なかなかそうはいかない、というのが難しいところだな、と思います。とはいえ、私も昔は硬いマッチョな思想ではあったのですが。
結局、その相手とは別れることになったのですが、「選択的夫婦別姓」があれば結婚できていたか、と言われると、正直わかりません。ただ、自由度を高めることは重要だと思います。
「選択的夫婦別姓」が早く認められることを願っています。
あと、この件に限らず、自分の思想を他人(特に自分と直接関係ない人)に押しつける傾向が高くなっていると思うので、寛容な世の中になっていってほしいな、と思います。
大学進学における階層再生産と「のしあがり」
私は、ここでいう「第一世代」(両親が大卒ではない)学生です。1973年生まれ、1993年大学入学(1年浪人)なので、大学入学はもう25年前ですが、京大に入った時に、まわりの金持ち具合、世界の違いにびびったことを思い出します。とはいえ、それでも当時はまだ貧乏学生も一定数はいたよな、と思います。
この記事では、”親の所得が下位20%の低所得層出身の若者が、32-34歳になった時点で上位20%の高所得を稼ぐようになる”ことを階層上昇(のしあがり)と呼んでいます。私の場合、33歳くらいだと、どうかなと思います(大学教員として勤めはじめたのが28歳なので)が、今だとたぶんあてはまってるのかな、と思います。
ただ、今の時代だと、上位国立大学に入る親の学歴や年収が高い割合はどんどん増えて、こういう「のしあがり」できる確率は下がってるでしょうね。階層再生産が強化されているでしょうし。うちの大学でも、両親が大卒、という割合は増えていってるでしょうね。
その一方で、学費、生活費が大変で、バイトにあけくれる学生、というのも増えてきていると思います。
いつも思いますが、つくづく自分はラッキーだったな、と感じます。京都に来て、ずっと公立でいける大阪じゃなかったら、多分しんどかったな、と。今、いろいろな地方にいきますが、その大変さも感じます。
最近、生活保護の問題(基準の引き下げ)などもとりあげられていますが、もっと教育・学習を支援する世の中になっていくことを願います。
この記事の最後の文章には、本当に同意で、大学生の学力が落ちている、問題だ、みたいなことを言う人も結構いるのですが、世の中の半分以上は大学に行ってないわけで、有識者こそ、そのことを踏まえて、世の中をよくしていくことを考えないといけないのでは、と思います。
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だが、4年制大学への進学率が53%程度で、18歳のほぼ半数は大学に行かない現状を忘れてはならない(学校基本調査)。また、ここではとりあげなかったが、地方によって大学進学率にかなりのバラつきがあること、そして、一流大学の多くが大都市圏にあり、都市圏に住まない高校生が大きなハンデを負っていることも社会的に問題だ。
今後は女子学生比率だけではなく、大学生の「経済的多様性」や「出身地多様性」を無視していては、大学は階層固定(階級再生産)の手助けをしているとみなされかねない。こうした指標も同じように重視し、何らかの対策をとる必要にいずれ迫られるだろう。
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2018年もよろしくお願いします!
あけましておめでとうございます!2018年がはじまりました。
40代前半はあまりうまくできなかったことが多かったという反省があるので、この半年できちんと清算して、7月からの40代後半に向けてのステップにする1年にしたいと思います。
2018年もどうぞよろしくお願いします。
さえりさんに京都外大で授業してもらった件(17/12/6)
京都外国語大学「現代日本社会論2」で、ライターのさえりさん(@N908sa @saerigood)に来ていただき、授業していただきました。
私は以前からさえりさんのtwitterを読んでいて面白いな、と思っていて授業でも紹介していましたし、京都学園大学が受験生応援サイトにさえりさんを起用していていいなぁ、と思っていました。それで、8月のイベントに参加してお話を聞き、ぜひ学生に話してもらいたいと思っていました。
今回、タイトルは、さえりさんから「働くのが”楽しい”大人もいる!」を提案していただきました。学生時代に働くことは楽しくない、と思っていたそうで、学生に将来が楽しくなるようなお話をしたい、ということでした。
授業は相談の結果、対談形式で行うことに。研究関係やイベントの司会は多数経験があるのですが、こういったトークイベント形式での司会はあまり経験がないので、最初はちょっと手探りでしたが、いい感じで進められたかな、と思います。今回は授業以外の学生、卒業生なども受け入れたので、171教室もいっぱいでした。
最初は、自己紹介、最近やってきた仕事として、ライターとしての仕事、ストーリーづくりの仕事、エッセイストとしての仕事、その他、と分類して、そのページや動画を見ながらお話いただきました。
ライターの仕事は、企業から直接仕事を受けるケースは少なく、代理店や編プロ(編集プロダクション)からの依頼が多い、ということです。この辺、学生はあんまり知らないと思うので、なるほど、と思ったのではないかしら。
そして、今回の授業のポイントの1つだったお話。「文章を書く仕事に就きたいなら、文章を書くことが好き、自分を表現する事が好き、ではなく、”人に伝えることが好き、人のことを理解するのが得意”なことが大事」ということでした。これ、すごく重要な点ですよね。相手に伝える、人のことを理解する、ということは、いわゆるコミュニケーション能力、とも言えますし、京都外大生の特性を活かすこともできるのでは、と思いますし、ライターに限らず、いろんな仕事でも大事な点だな、と思いました。
私からは「ライターは、アーティストではなく、デザイナーである」ということで、アート(つくり手が表現する)、デザイン(そのものによって伝える)の違いを補足しました。デザインは、いろんな分野、仕事でも重要な観点なので、ぜひ学生にも意識してもらいたいですね。
ライターとしてはクライアントの要望を適切に理解し、その目的を果たすために文章を書く、ということになりますね。
その後、学生時代のお話をしていただきました。人のことが分かりたい、ということで心理学科に入り、大学3年生の時、縁あってFMラジオのパーソナリティをしたりすることを通して、意識高くなったそうですが、できないという実感との葛藤の結果、1年休学したそうです。そこから復学して、出版社に就職するも、考えがあわず退職。友人の紹介でLIGに入って、編集者やライターとしての経験を積んでいったとのこと。そこで、twitterなどのSNSで発信することを頑張ってやっていった結果、フォロワーが増えて、やりたいことをさらにやろう、ということで独立し、今の仕事をされているそうです。
もう1つ、大事だな、と思ったことは「やりたいことをきちんと言っておく」ということ。自分で言葉にしていないと、他人には伝わらないですよね。そうやって得た仕事もあったそうです。いくつか「そんな運がいいこと、あるんだな」という事象がありましたけど、それは普段から自分でチャンスをつかみにいってるから、そういうことになったんだろう、と思います。チャンスは勝手には来てくれないですものね。
さえりさんといえば、妄想ツイートが有名ですが、電車で通勤する時間に「妄想するぞー」と思って、考えてツイートされていたそうです。なぜ”綾野剛”なのか、という話もしていただきました。相手にどう伝わるのか、ということをすごく考えているんだな、ということを感じました。”共感力”が高いんですよね。メインターゲットを若い女性(10代、20代)と明確にされているのも重要だな、と思いました。
学生からの質問もたくさんあり、15分ほど延長して終了。その後も、学生からの個別の質問や写真撮影、サインなどにも1時間以上対応していただき、19時半まで。大変ありがたかったです。サインは、本や手帳だけじゃなく、iPhoneにも。あとで聞いたら、若者にはちょくちょくある、ということでした。すごいな(笑)。
さえりさんは27歳ということで、少し年上、身近なロールモデル(職業自体は少し特殊ではありますが)として、学生にささるお話をしていただけたな、と思います。4年生からのコメントに「私は来年から○○として働きますが、「あいつに仕事を頼みたい」と思ってもらえるように頑張ります」というものがあって、すごくよかったな、と。
さえりさんには、 下記のようなツイートしてもらってました。来ていただき、ありがとうございました!
京都外大の授業に呼んでもらったんだけど、学生さん達には「楽しく働く大人もいる」ってことを知って欲しくて、それは昔わたしが「卒業したら未来は単調で苦しくて真っ暗だ」と思っていたからなんだけど、今回ちゃんと「仕事をこんなに楽しそうに話す人を初めて見ました」って言われてとても嬉しかった
— さえりぐ (@saeligood) 2017年12月7日
「えんとつ町のプペル展in大阪がもよん」に行ってみた
6/16のお話、後半。
天満橋まできたので、その足で、えんとつ町のプペル展in大阪がもよんに行ってきました。
「えんとつ町のプペル」は、キングコング西野亮廣さんが中心となってグループで制作された絵本で、クラウドファンディングが駆使されています。
授業でもクラウドファンディングの説明をするのですが、昨年からは事例として西野さんの取組をかなり詳しく説明しています。
それで、原画展についても、クラウドファンディングを用いて、各地で開催されています。これのすごいのは、本当に一般の人(仕事でイベントを企画、運営したりしているわけではない)が自分たちで企画して、お金を集めている、というところです。西野さんに賛同して、そのやり方を参考にしながら、やっている、という感じでしょうか。
大阪の蒲生四丁目(がもよん)での個展は、今回、小中の同級生経由で知ったわけですが、企画者は主婦。東京とかには行けないから残念に思い、大阪でやるぞ、ということになったそうです。
結果、多くのボランティアスタッフが集まり、がもよんの飲食店とも連携してのイベントになったそうです。すごいですよね。
原画展は初めてで(こないだ神戸のに行きそびれたので)、すごくよかったです。光る原画、になっているのですが、本当にきれいでした。
最後に、フォトコーナーがあって、促されたし、せっかくなので流れ的に一応コスプレしました。写真うつりが悪いのは、相変わらず(笑)。元が元だけに、致し方ない。
近くのスペースでは、ワークショップなどもやってました。ぬりえコーナーやしおり作成は毎日、日によってTシャツやトートバッグプリント体験やネイルなどもあるそうです。
6/25まで蒲生四丁目で開催されるそうです。絵本に興味ある方、クラウドファンディングに興味ある方、行ってみてはいかがでしょうか?
追伸:
1つ心残りなのは、twitterにコスプレ写真あげた時に、「こんなおっさんのコスプレ、誰が興味あんねん(ヤナギブソン風)」って、書けばよかった、ということである(心からどうでもいい)。
New Education EXPO2017@大阪に登壇しました
6/16のお話、前半。
New Education EXPO2017@大阪、登壇終了しました。
今回も140名ほどの参加者。横長の部屋だったので、きょろきょろしながらの講演で、今回も通常通り、笑いは取りにいきましたが、東京よりはちょっと反応あったかしら、くらいでしょうか(笑)。
内容については、東京でも、大阪でも、思った以上に好評な印象で、きちんと成果をアピールしていくこと、実践の支援をしていくこと、研究を進めていくこと、をがんばっていかないと、と思いました。昨日、西京中学に行って、飯山くん@京大と少し打ち合わせしましたが(京大美濃研の4回生が卒論でがんばってくれる予定)、またちゃんと考えたいです。
今回は、教育データ分析ネタなわけですが、ラーニングコモンズやFD関係など別のネタで私のことを知ってくれた人が数名聞きに来てくれていたようで、そういうこともやっているのか、と思われたようで。そうなんです、いろいろやってるんですよ(笑)。
午後は、緒方さん@京大のお話を聞きました。いつもながら、ほんわかした雰囲気、よかったです。昨日、久しぶりにお話して(京大に来られてからは初めて)、今日も昼食一緒でしたが、一緒に研究できるようにしたいですね。
その後、企業展示をめぐりました。必要な人にはあって挨拶したり、話できたりしたかな。
帰りには、久しぶりの京阪、しかも、京橋から乗ったので、とりあえずフランクフルト買いました(笑)。
立教大学BLPを見学して、ただただ感心する
すっかり遅くなってしまいましたが、5/30(火)に立教大学のBLP(Business Leadership Program)を見学してきました。
2015年の大学コンソーシアム京都主催のFDフォーラムのシンポジウムで、日向野先生@早稲田大に登壇して話題提供していただいたりして、取組は以前から知ってはいたのですが、実際に見学は初めてでした。
京都外大にコミュニティ・エンゲージメントセンターという組織ができまして、私は何も関係していないのですが、そこに所属している職員がいろいろ困っていて、相談に乗っていた際に、いろいろ情報提供してあげたうちの1つがBLPでした。それで、同行した方がいい、ということになり、せっかくの機会だし、授業や他の予定を調整して休講にして行くことにしました。
日向野先生の著書や発表、館野くん@立教大学のブログや話などから、知ってはいたつもりでしたが、やっぱり実際に見てみると、ほんとにすごいな、と思いました。
まずは昼休みに、教育研究コーディネータの加藤さん、島田さんから、BLP参観についての説明を受け、アテンドとして3名の学生がついてくれ、2つのグループに分かれて見学することになりました。
3限はBLP0の授業見学。BLP0(リーダーシップ入門)では、産学連携型PBL(Project-Based Learning)の形式で、経営学部の1年生400名程度が対象の必修クラスで、1クラス24名程度に分かれ、その中で5名前後のグループをつくり、課題に取組、コンペ形式でプレゼンを行います。18クラス開講となります。
今年は株式会社ビームスと連携して「プロジェクト課題に取り組むことで、リーダーシップを学ぶ」という授業目標のもと、「メンバーの誰かがジブンゴトとして捉えているテーマを1つ選んで、BEAMSができることを提案せよ」という課題について取り組んでいるそうです。
今回は7回目の授業で、中間ポスター発表を終え、プロジェクトを図式化していくフェーズでした。45分ずつ、2つのクラスを見学しました。各クラスに1名ずついるSAが、基本的には授業を進めていきます。他に、2クラスに1名、6クラスに1名、それぞれCA(Course Assistant)がいて、包括的な視点でクラス運営を支援していました。SA、CA、アテンド、すべて2年生だそうです。2クラスのSAを見ましたが、本当にどちらもしっかりしていて、感心しました。
最初の高橋先生のクラスでは、最初に「BEAMSならでは?」という問いに対してそれぞれのグループが発表して、グループワークに入ったのですが、高橋先生の介入具合が抜群で、すごいな、と思いました。少し足りないな、というところで、具体的な内容を聞く発問をし、学生から意見を引き出した上でポジティブなフィードバックを返していて、学生も積極的に考える方向に進むんじゃないかな、と思いました。
2クラスのグループワークの雰囲気もそれぞれ違っていて、後半のクラスでは、ホワイトボードを前にして、各グループが立って議論していました。活発な感じがしてよかったです。基本的な方針は決めつつ、教員の自由度もある程度許容する感じになっていて、とても参考になりました。
4限の前半は、教員、SA、CAが集まり、館野くん仕切りのもと、教員SAミーティング。6名程度のグループに分かれ(10くらいあったかな?)、SA、CA、教員、参観者がそれぞれ報告、意見、感想などを共有し、Google Documentで各グループが議事録を記入して共有。その後、全体での確認、次回の授業の進行について担当のSAが説明。今は、各回の授業について担当のSAを決め、館野くんと相談しながら、授業進行、授業資料の作成を行うそうです。学生の関与度を高めているのはすごいですね。あと、授業資料に、今回の授業と15回の授業のスケジュールがこまめに確認されるようになっているのもすばらしいな、と思いました。
後半は、アテンドの学生による自分のBLPを通しての学びについてのプレゼン、見学したクラスのSAからの説明、質疑応答がありました。2年生でしたが、すでにしっかりとしたリフレクションを行っていて、自分なりにリーダーシップについて語ることができ、感心しました。全体的に、だいぶ前のめりだな、とは思いましたが(笑)、その点も理解した上でバランスとるように心がけていて、なかなかやるな、と。立教大学経営学部への帰属意識をものすごく高める、すばらしいプログラムになっているな、と思いました。また、学生の行動や発言そのものがBLPの教育成果として見える形になっているのもいいな、と思いました。
順序逆になりますが、5限の後半にはGLP(Global Leadership Program)の授業を少し見学しました。こちらは全学共通科目として、世界標準のリーダーシップを育成することを目的とした科目群で、今回はGL101でしたが、GL202からは英語での授業となるそうです。
5限の前半に、館野くんと少しお話。運営や教員の配備などについて話しました。教員研修はほとんど行っていないそうで、担当教員の半分が立教大学経営学部、半分が非常勤講師、ということで、非常勤講師の選定がポイント、ということでした。まあ、そうなりますよね。私も4年前まで京都外大の初年次教育科目「言語と平和Ⅱ」の責任者をやっていたときは、同じ意識でした。実際、私も、これだけの資料があれば、すぐ授業できるな、と思いましたし、そう思ってやってくれる人を見つけるのがポイントですね。
対して、館野くんや高橋先生のように、こういった運営を回せる人、2年生のSAなどのスタッフを育成できる人、をどうやって探してくるのか、どうやって育成していくのか、というのが大きな課題だな、とも思いました。私自身はがんばればできるな、とは思いましたが、他の人にこれをやってもらう、となると、どうしたらいいのか、なかなか悩ましいな、と。この辺はコミュニティ・エンゲージメントセンターでしっかり考えて、取り組んでいく必要がありますね。私がやるわけじゃないですし。
また、BLPも400名と対象とした必修の初年次教育であることから、京都外大の初年次教育科目「基礎ゼミナール」「言語と平和」でも参考になることはたくさんありました。こういった情報は、教職員に広く知ってもらうようにしていきたいと思います。
立教大学BLPは、日向野先生が中心となって立ち上げ、パワフルに突き進み、それを館野くんの教育工学的、高橋先生の論理的な視点を加えながら、発展させている、という感じなのかな、と感じました。それぞれの先生の特性を活かしながら、いい形でプロジェクトとして運営されていて、すごいな、と思いました。何回も言っちゃいますけど(笑)。
自分もちゃんと学ばないと、ということも思いました。
最後になりましたが、立教大学経営学部BLPのみなさま、ありがとうございました。