私立文系大学で、数学の授業をやってきて

私は、もともと中学か高校の数学教員になるつもりでした。大学に入ってから、その方向は少しずつ変わり、結果として大学の教員になりました。

京都外国語大学という私立文系大学で、数学系の授業として、大学で「情報と論理」(昔は「情報数学」)、短大で「数的理解」を担当しています。楽しく授業しています。

京都外大生だと、数学が苦手、という学生が多いのに加え、1回目の授業で「わからないかもしれないのですが」「わからなかったら、怒られませんか?」みたいな質問をしてくる学生もいます。びっくりしますが、これまでにそういう経験をしてきたのかな、と。

「情報と論理」は、結城浩さんの「プログラマの数学」を教科書にしているので、ある意味、大学レベルの数学も入っていますし、命題論理などは言語学にも関連するので、京都外大としてはちょうどいい内容だな、と思って使っています。

プログラマの数学第2版

プログラマの数学第2版

 

授業では60分ほど説明して、1章を2回の授業で終わらせる感じです。ずっとだと疲れるので、残りは”おまけ問題”と称して、数学パズルをやっています。ニュートンムックのシリーズなどいろいろな本から抜粋したり、Nクイーン問題、数独をやったりしています。 

厳選数学パズル―名作から超難問まで (ニュートンムック Newton別冊)

厳選数学パズル―名作から超難問まで (ニュートンムック Newton別冊)

 

先日は「博士の愛した数式」を40分ほど見て、 完全数友愛数ネイピア数オイラーの公式の説明をしました。80分しか記憶のもたない数学者と家政婦、その息子(ルートくん)の物語ですが、毎年観ていますが、何回見てもいい映画です。ルートくんは高校の数学教員になっている(映画では吉岡秀隆)のですが、学生のコメントシートに「あんな先生がいたらよかったのに」という感想が書かれます(笑)。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

 
博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 

「数的理解」では、例題の解説、問題演習と解説、”おまけ問題”、毎週の宿題で構成しています。短大生だと、とりあえず数字を適当に計算しがちなので、丁寧に立式することを繰り返し、教えます。25名程度なので、机間巡視を重視し、こまめに個別フォローして、できたらほめるようにしています。数学の問題に取り組む体力があまりないので、少しずつ慣れてもらうこと、問題が難しそうだからといってすぐにあきらめずに取り組んでもらえるように心がけています。

どちらの授業でも、最後の方になると、少しはできるようになってきた、という実感をもてるようになる(多少はあおってますけど(笑))ので、そういう感想が出てくるとうれしいですね。

大学の授業(とくに教養教育系の科目)は、授業内容を習得すること自体が大事ではありますが、それよりもどうやって学ぶのかを習得すること、内容に興味や関心を持てるようになることが大事かな、と思います。

学生には「卒業してからも、ずっと勉強することになるんだから」と言ってますが、人生100年時代、生涯学び続けることのできる能力を身につけてほしいですし、幅広い分野について興味や関心をもってもらえるといいな、と思っています。